COSMO

人権に関する考え方

当社グループは、すべてのステークホルダーの人権が十分に尊重されることが不可欠であると認識しています。そのため、企業行動指針において人権の尊重を明記し、人権の重要性と企業として人権を尊重する責任を示す人権方針を定めています。当社グループは、この人権方針に従い、人権尊重にコミットした事業活動に取り組んでいくことで、グループ理念の実現と持続可能な社会の発展に貢献します。

推進体制 

当社は、取締役会の監督の下、企業倫理に関する基本方針の決定、推進、実施及び確認並びに国内外のあらゆる人権侵害の防止・是正に向けた人権尊重への取り組みの推進、実施及び確認を行うための会議体としてサステナビリティ戦略会議およびサステナビリティコミッティを設置しています。

また、サプライチェーン全体の取り組みとして、サステナブル調達の仕組みの中でサプライチェーンに関する人権の対応状況についても調査を行っています。

人権デュー・ディリジェンスの実施 

当社グループは、2022年度に主要事業である石油製品のバリューチェーンを対象に、指導原則に沿った人権デュー・ディリジェンスを実施しました。人権リスクの特定と評価、改善策の立案(教育の仕組み構築等)を内容とするものです。書面/ヒアリング調査・従業員意識調査・外部情報に基づいて、顕在的・潜在的リスクおよび管理体制の脆弱性を評価し、石油関連事業における人権課題マップを作成しました。特定された人権課題に対し、是正・改善措置に取り組んでおります。

救済メカニズム

当社は、企業倫理・人権施策に関する活動を具体的に推進し、実行する組織として「コスモエネルギーグループ企業倫理推進室」を設置しています。また、社員の法令違反・社規違反等の不正行為及び倫理上の問題を匿名で相談・通報できる「コスモエネルギーグループ企業倫理相談窓口(企業倫理ヘルプライン)」を社内および社外に設置しています。

有識者ダイアログ 

当社の人権に関する取り組みについて、(特活)国際協力NGOセンター(JANIC) THINK Lobby 所長 若林秀樹様をお招きし、当社の竹田純子取締役常務執行役員と意見交換を行いました。(2024年6月26日)

 

 

竹田  当社はエネルギー企業であり、中東における原油生産をはじめ、輸送、精製、販売とサプライチェーンが長く、そのプロセスに関わる多様な人材の人権は非常に重要なテーマと考えています。取り組みを深化させていくために、本日はいろいろとお話を伺わせていただきたいと思います。

 

若林様  この10年程、多くの企業が人権の取り組みを行っていますが、完璧にできているわけではないので、今後とも継続的に取り組んでいくことが重要です。

コスモエネルギーグループの企業行動指針には人権デュー・ディリジェンスについての記載があり、その運用に関しても規程や方針が整備されており、枠組みとしてしっかりされていると思います。一方で、方針は作っているものの、実際に動いているかのチェックが重要なので、工夫して取り組んでいく必要があります。また、人権デュー・ディリジェンスは継続的なプロセスであり、社会の変化とともに人々の人権意識も変わってくるので、その点に留意しなければなりません。

内部的にはモニタリングのシステムが必要ですが、従業員一人ひとりが取り組むことで最終的に企業成長の源になります。置かれた立場の中で一歩一歩地に足を付けた取り組みを進めていくと良いと思います。

 

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――企業人の前に市民であること

 

竹田  人権デュー・ディリジェンスを第1・第2フェーズと実施し、これから実施する第3フェーズでは、サプライヤーまで対象範囲を広げていく予定です。やはりまずは自分事として関心を持ち続けることが重要であると考えています。

 

若林様  サプライヤーに対しても、さすがコスモだと言われるよう、取り組んでいる成果が伝わっていくことが重要です。そのためにはまず内部の人が人権を適切に守っているか、まず社内できちんと取り組み、それが伝わっていくことが大事なので、継続的に取り組んでいくことが肝要です。皆さんは企業人の前に市民であり、人権を守り守られる必要があります。日本ではシチズンシップの教育をあまり受けてきませんが、そういう感覚を育てることが、コスモにとっての教育になります。経営トップが言うと従業員も意識するので、竹田常務から常日頃言っていただくことが大事だと考えます。

 

竹田  企業人である前に一人の市民という考え方は非常に大事ですね。アンテナというか、一市民としてどうあるべきかという感覚は必要だと思います。

人事担当役員の立場から、女性の活躍についても同様に思うところがあります。女性に手厚くというより、ジェンダーに関わらず、公正・公平な活躍を促し、それに対して適正な処遇をして、誰も不都合を被らない制度や職場環境を整えたいと考えます。

 

――中東での人権リスクについて

 

竹田  カタールのワールドカップで人権問題が顕在化したのは記憶に新しいところですが、先に行った人権デュー・ディリジェンスの中で中東地域における人権課題について報告を受けました。中東での操業は我々の生業の根幹でもあります。カファラという制度について、当社の関連会社では現状関わっていないとのことですが、具体的に対策を講じる必要性が生じた場合に、どうすべきなのか社内でも議論をしているところです。中東でのビジネスは政府が相手ですので、国の意思が働いているところで我々がどう向き合っていけばよいのか示唆をいただけると有難いです。

 

若林様  中東地域は人権のハイリスク環境で、表現の自由から移民の権利など様々問題があり、何が起きてもおかしくはありません。企業がどう向き合うか問われています。問題のリスクを分析しながら必要に応じて行動したり、表明することが求められています。最初に問われるのは企業の暗黙の加担、影響力があるのに何もしなかった場合であり、人権デュー・ディリジェンスのリスク分析の一つに含めることが必要です。我々も公正な社会の実現のための企業行動セルフチェックリストを作成して期待される行動を示し、企業のグッドプラクティスを紹介したりしています。

 

竹田  今日明日でどうにかなる問題ではありませんが、現状どういう課題があるのか分析しておく必要があります。実情を認識していなかったところから、少しでもレベルをあげることから始める形になるかと思います。

 

――気候変動と人権の取り組み

 

若林様  2022年に国連で、清潔かつ持続可能な環境が人権として認められました。日本ではまだ環境・気候変動と人権のつながりの議論が十分にはなされていませんが、我々は人権も含めた気候変動対策をきちんとやっているといえることが重要です。ビジネスと人権の指導原則には、国際法など世界が認めたルールが入っていますが、気候変動も共通の枠です。環境・気候変動の問題は人権問題であると認識し、環境・人権デュー・ディリジェンスを一体のものとして捉え、気候変動に対してしっかり説明責任を果たしていくことも必要です。

 

竹田  気候変動については、世界中で自然災害が頻発する等、環境そのものの変化が激しい状況において、当社にとって重要なテーマの一つであると考えています。企業が一朝一夕に特効薬のような対策を打つのは現実的ではありませんが、日々アンテナを張って地道に取り組むことが大事だと考えます。経営も、執行の現場も、日々自分の役割の中で目配りをしながら、社会の環境変化に対応していくことが重要だと考えます。

 

若林様  まだまだ課題はあると思いますが、一度にすべてはできないので、今日の話を元に一歩ずつ歩みを進めて、人権先進企業となるべく頑張っていただきたいです。

 

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(特活)国際協力NGOセンター(JANIC) THINK Lobby 所長 若林秀樹様(右)

コスモエネルギーホールディングス 取締役常務執行役員 竹田 純子(左)

当社の人権に関する取り組みについて、一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)松岡秀紀特任研究員をお招きし、当社の児玉サステナビリティ推進部長と意見交換を行いました。

 

児玉  当社は2021年12月に「人権方針」を定め、当社だけでなくサプライチェーン全体にわたって人権に取り組むことを表明しました。2022年8月~11月にかけて当社の主要事業である石油製品のバリューチェーンを対象に人権デュー・ディリジェンスの第一フェーズを実施しました。今後、グループ全体に範囲を広げていこうと考えています。当社の人権の取り組みについて、提言をいただければと思います。

 

松岡様  お話を伺い、2年前より随分取り組みが進んでいる印象を受けました。気になったのは、人権方針に記載されている重要な人権課題と、デュー・ディリジェンスで抽出した課題リストとでズレが生じている点です。また、例えばハラスメントや女性の権利の侵害、ジェンダーの問題などはいつ起こってもおかしくない深刻な問題ですが、リスクヘッジの仕組みが整っていることをもって「是正」されたと安心してしまうことのないよう留意が必要と思います。つまり「是正」は、指導原則では負の影響の是正の意味で使われているので、社内で混同されないよう留意が必要です。また指導原則では、リスクマネジメントのシステムに組み込む場合は「リスク」の意味内容を慎重に扱うことを求めています。10年前とは比較にならないぐらい状況は変わってきて、ここ数年はかなりビジネスと人権への関心が高まっています。まず企業としてどうなのかということに軸足を置きながら取り組んでほしいと思います。政府もさまざまに取り組み始めていますが、自社の事業活動に関わって最後に責任が問われるのは企業です。

 

児玉  我々が取り組むべき課題について認識することができました。本日は貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター
特任研究員 松岡 秀紀氏

サステナビリティ推進部長 児玉 孝樹

人権に関する外部機関への参画

コスモエネルギーグループは、東京人権啓発企業連絡会に参画し、様々な人権問題の解決に向けて取り組んでいます。

 

東京人権啓発企業連絡会は、東京に本社を置く企業を主体に122社(グループ企業を含め約150万人、2024年7月現在)で組織されている任意団体です。会員各社と情報交換を行い、社内研修啓発への取り組みや人権意識を高め、働きがいのある職場づくりなど企業の立場からまた企業に求められる人権の尊重の定着をめざしていきます。

労働環境改善への取り組み

当社グループは、基本的人権の尊重、差別の禁止など、労働環境改善に向けた取り組みを実施するとともに、各職場の実態を把握する取り組みとして、「従業員意識調査」を毎年、実施しています。
従業員の賃金については、国内外を問わず関連法令を遵守した基準を上回る最低賃金基準以上で支給しています。
また、社会の取り巻く状況を踏まえ、職場環境の改善、福利厚生等の充実、賃金支給額の向上を図るよう努めています。

コスモ共済会

コスモ共済会は、コスモ石油株式会社および主要関係会社の従業員をはじめとする役職員を対象とした会員およびその家族の福祉向上を期することを目的に、給付事業、融資事業、その他、本会の目的を達成するため必要な諸事業を実施する団体です。
出産・育児休職給付金、介護休職給付金等各種給付事業のほか、教育資金、災害復旧資金等、各種生活のための融資事業も実施しています。