わが国の石油精製・元売会社による団体である石油連盟では、国内の産業保安に関する自主行動計画を策定しています。コスモ石油では、石油連盟の自主行動計画に参画し、石油会社としての社会的責任を果たしていくための取り組みを策定し、実施しています。
コスモ石油が実施する取り組み(抜粋)と具体的な活動内容
対象期間:2023年4月1日~2024年3月31日
経営者の産業保安に対するコミットメント
コスモ石油は、製油所の安全操業・安定供給の追求により、コスモエネルギーグループを支えるとともに、企業としての社会的責任を果たすべく、これまで以上にサステナブル経営を推進することで社会から信頼されるエネルギー企業をめざしています。2023年度も経営トップの事業所への訪問時に、現場第一線の従業員と膝を交えて懇談するなど、経営者の安全に対する熱意が直接現場へ浸透するよう社内コミュニケーションを継続しました。
コスモ石油の安全管理活動に関する取り組み
2022年4月より社長を委員長としたサステナビリティ推進委員会(サステナビリティ活動および内部統制を担う組織として旧安全環境委員会など3つの内部統制委員会を統合)を設立し、同委員会を軸に製油所をはじめ全社の安全施策の進捗や評価・見直しなどPDCAマネジメントを着実に実行し、安全操業・安定供給の実現をめざしています。2023年度も安全方針・安全目標や安全実績を明示した新聞を定期的に発行し、安全の見える化を推進しています。社内外の不具合事例の共有については、ポイントを絞った効果的な水平展開を行う会議体において、類似事故の未然防止を強化しています。また、保安レベルへの強化検討のため、CCPS(Center for Chemical Process Safety; 世界的なプロセス安全に関する団体)に継続して参加しています。
産業保安に関する目標設定と結果
コスモ石油第7次中期経営計画
安全方針:安全で事故のない企業グループであり続けます(あらゆる事業活動において安全と安心の確保に取り組みます)
安全目標:重大事故ゼロ(高圧ガス認定取り消し要件、消防庁重大事故などに相当する事故)
結果
2023年度の実績は、レーティングⅣ*1のプロセス事故が1件発生しており、事故の原因分析を行い、再発防止対策を行うとともに、変更管理や不具合管理のプロセスに社内専門家を関与させる仕組みの強化やOMSの全社展開を行うなどマネジメントシステムの改善を進めました。
*1 発生した不具合の影響の大きさを5段階で表したもので、レーティングⅤが最も重大となる
産業保安のための施策の実施計画の策定
A.事故削減に向けた具体策
- 腐食等の設備管理的要因
鉄工・検査・計装・電気・回転機の各工種の専門分科会で技術の集積や具現化の促進を図っています。また、保全部門が製造部門に対して勉強会を開催し、日常点検の技量向上を図っています。 - ヒューマンエラーの防止・リスクアセスメントの実施状況
非定常作業時の潜在リスク洗い出しを目的とした危険予知ミーティングやヒヤリハットの事例活用を実践しています。また、常駐協力会社も参画したゼロ災運動を展開し、不安全行動を防止する取り組みを進めています。さらに、重大事故についてもリスクアセスメントを実施しています。 - 手順書・マニュアル類の整備
運転管理、工事管理の手順書、マニュアル類については、手順に対する抜けがないか、記載内容が関係者に理解されているかを確認するなど改善を図っています。また、工事ごとに手順書の中で発注者側が立ち会うべきチェックポイントを明確化するなど工事管理ツールの充実を図っています。2023年度も工事管理上の不具合の減少への取り組みを推進しています。
B.教育訓練
- 近年の従業員の若年化傾向を踏まえ、教育システムのPDCAを着実に行うなかで、教育カリキュラムの見直しを行い、日常の現場作業等を通じたトレーニング等による技術力のレベルアップにつとめています。また、危険に対する感性向上のための体感訓練として、模擬プラントなどの体感訓練設備を利用した訓練や各種防災訓練、社内外の事故事例勉強会等を実施しています。さらに、協力会社員に事故事例を考慮した体感教育を実施しています。
C.安全・法令遵守の再徹底
全社員を対象としたe-ラーニングによるコンプライアンス学習を継続しています。また、東日本大震災が発生した3月11日を『コスモ石油 安全の日』とし、設置した安全記念碑の前で、「安全の誓い」を唱和するなど継続して事故の風化防止に取り組んでいます。2023年度は、事故の事象・原因・再発防止策などを編集した動画をコスモ石油グループ全社員が視聴するとともに、「いのちの大切さ」に関する講演会を開催するなど、事故の風化防止と安全意識を再確認する機会としています。
D.自然災害による産業事故の発生防止に向けた取り組み
供給網全体の事業継続計画(BCP)マニュアルを整備し、BCP訓練の実施を通じてマニュアルの充実を図っています。また、供給能力の強靭化のため製油所および、物流基地では設備改善をおこない、有事の際にも安定供給を可能としています。
E.第三者による保安力評価
千葉製油所、四日市製油所、堺製油所を対象として、特定非営利活動法人 保安力向上センターによる「保安力評価(安全基盤および安全文化の評価)」を継続的に受けています。評価結果で抽出された改善の助言に関しては、更なる保安レベルの向上を目指して改善に取り組んでいます。また、高圧ガス保安法における高度な保安の取り組みを行っている事業者として、2021年4月に千葉製油所、2022年8月に四日市製油所が経済産業省から特定認定事業者(通称:スーパー認定事業者)に認定され、2024年8月に堺製油所が特定認定高度保安実施者(通称:A認定)に認定されました。