当社グループは、リスクマネジメントをマテリアリティの一つと位置付け、事業活動を通じて発生するリスクを把握の上、適切な管理体制を整備し、計画・実践・評価・是正措置のサイクルを構築しています。
また、当社グループを取り巻く事業環境の変化や様々なリスクに対しより適切に対応するため、中長期の視点を持つとともに、リスクを事業機会として捉え、企業価値を最大化しようとする全社的リスクマネジメント (ERM:Enterprise Risk Management)の構築に取り組んでいます。COSO(米国トレッドウェイ委員会支援組織委員会) ERMフレームワークの考え方を参考に2023年9月12日のサステナビリティ戦略会議において、ERMの体制と手法構築に関する方針について決定しました。リスク抽出においては、経営によるトップダウン型のアプローチ手法を導入するとともに、リスク管理においてはリスクオーナー設定によるリスクカテゴリ毎のグループ横断的なリスク管理を推進しています。
(1)リスク管理体制
当社グループでは、各社の事業を発展的かつ安全に運営するため、サステナビリティ戦略会議にてグループ全体に関わるリスクへの対策を審議するとともに各社でのリスクへの取組状況を集約して対策の進捗を討議しています。その結果を取締役会へ報告するとともに、サステナビリティ連絡会を通じて各社へも展開します。
また、サステナビリティ戦略会議の実務機能を担う機関として、サステナビリティ推進部長を事務局長とするサステナビリティコミッティを必要に応じて開催しています。
組織体制図は、サステナブル経営の推進体制をご参照ください。
(2)リスク管理の運営
経営視点での中長期的リスク(経営層へのヒアリング・アンケートによりトップダウンで抽出)及び各部門・グループ各社からボトムアップで抽出したリスクのうち、影響度や発生可能性が上位かつ、マテリアリティとの関連性や業界特性上の重要性が高いリスクを選定し、サステナビリティ戦略会議で経営層との議論のもとトップリスクとして決定し、取締役会へ報告しています。
決定したトップリスクについては、グループ横断的に統制を図るため、実務責任者として当社グループ全体におけるグループリスクオーナーと、中核事業会社におけるリスクオーナーを設定します。
グループリスクオーナーであるグループ全体の統括責任者が、トップリスクへの対策とその計画策定、並びにKPIを設定し、モニタリング・レビューを行い、更なる改善活動に繋げます。中核事業会社のリスクオーナーはグループリスクオーナーとの連携のもと、各社においてリスクへの対策とその計画策定、並びにKPIを設定し、モニタリング・レビューを行い、更なる改善活動に繋げます。
また、トップリスクに含まれない、各部門・グループ各社から抽出したリスクについても、全社的リスクマネジメントの中で管理しております。
リスク管理の業務フロー図
(3)トップリスク
2024年度期初に決定したトップリスクは、以下に記載のとおりです。トップリスクについては(2)リスク管理の運営で記載のとおり決定し、管理します。
No. | トップリスク | カテゴリ | マテリアリティとの関連 | 想定されるシナリオ |
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1 | 脱炭素化の進展による石油需要の減少・事業資産への影響 | 戦略 | ○ | 自動車のEV化やグリーン電力発電が想定外のスピードで浸透すること等により、石油製品需要の急減、取引先の方針変更等が発生し、事業や事業資産に影響を及ぼす |
2 | 環境規制・気候変動対策の強化に伴うポートフォリオ・戦略投資への影響 | 戦略 | ○ | 環境規制・気候変動対策強化の動向に合わせた対応が困難となり、戦略投資に影響が発生する、あるいは投資回収が長期化する等、経済損失を被る |
3 | カーボンニュートラル燃料への対応遅れ | 戦略 | ○ | カーボンニュートラル燃料に関して、上市されている当該燃料の調達が困難となる、あるいは新しい技術開発・導入が遅れる、または失敗することにより、対応が遅れる |
4 | 原料・資材価格の変動(注) | 戦略 | 政情変化や経済変化等に伴う原油やLNG等の資源価格のボラティリティ上昇や、資機材、労務費等のコスト上昇、為替レートの変動により、業績が悪化する | |
5 | 労働市場の変化による人材確保・育成の困難化 | 戦略 | ○ | 労働人口が減少する中で、既存・新規事業の両面で多様性かつ専門性を持った人材の確保・育成が困難になる |
6 | 自然災害 | 戦略 | ○ | 地震や津波等の大規模自然災害により当社設備が壊滅的な被害を受け、早期復旧が困難となり巨額の損失を被る |
7 | 品質不正 | 業務 | ○ | 品質管理が徹底していないことにより、品質不正が発生することで、広域にわたる製品回収等により損失を被るほか、ステークホルダーからの信用を失う |
8 | サプライチェーンの中断 | 業務 | ○ | 当社グループのサプライチェーンは広範囲に及ぶため、取引先における人員不足や政治情勢の悪化等により、原油生産拠点での操業停止、船舶輸送、製油所の整備や給油所の運営等において、サプライチェーンの中断、損失が発生する |
9 | 情報セキュリティリスク | 業務 | ○ |
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10 | 生産設備における事故、不具合・故障 | 業務 | ○ | 製油所・油田・発電所での事故や不具合・故障により、操業継続及び自然環境・生物に影響が発生し、損失を被るほか、キャッシュ・フロー創出に影響する |
11 | 内部統制不備による不正/不適切行為の発生 | 財務・コンプライアンス | ○ | 内部統制システムが十分に機能せず、人員・ノウハウやIT技術導入不足等により重大な不備や不正が発生し、行政指導や刑事罰を受けるほか、ステークホルダーからの信用を失う |