COSMO

学ぶ、守る、つなぐ、琵琶湖の水(滋賀県)

琵琶湖で波力ポンプの実証実験を行い、
上下循環の低下を緩和する効率的な手法の開発に向け研究を重ねています。

滋賀県

プロジェクトパートナー:認定特定非営利活動法人 びわ湖トラスト

プロジェクトの目的

琵琶湖という恵まれた大自然の環境を活用し、さまざまな実証実験に取り組み、大人も子どもも世代を超えて多くの人々が自由に議論をし、実験ができる場を継続してつくることにより、地球温暖化の影響を軽減することをめざしている。

背景とプロジェクト概要

日本最大の湖である琵琶湖には、年間7,900万kWhという太陽エネルギーが注がれています。これを滋賀県で一年間に使用される電力量に換算すると60倍です。しかし地球温暖化の影響で、1990年から琵琶湖の水温が急激に上昇。2019年の冬には、「琵琶湖の深呼吸※」と呼ばれる水温変化による湖水の循環現象がストップしてしまいました。このプロジェクトでは、次世代を担うジュニア世代とともに、この問題に対する意識を高め、表層水と深層水の循環を促進する方法を考え、その中から最適な方法を国内外に提案していきます。そして最終的には、水面温度を1℃低下させるほか、表水層の一次生産を10%増加、さらには深水層の溶存酸素濃度を1ppm回復させることをめざしています。
※酸素を多く含んだ湖面近くの水と湖底の水が入れ替わる自然現象。

2023年度 プロジェクトレポート!

自然エネルギーで走る模型ソーラーボートレースで

琵琶湖の自然や環境を考え体験しました。

 

無人の模型ボートを太陽電池で走らせて、水中に入る太陽エネルギーの大きさや自律型水面ロボットの制御について学習し、湖沼や海洋の自然と触れあうことを目的に開かれている「ソーラーボート大会」。今年は琵琶湖畔で開催される本選に先駆けて、びわ湖トラストの学生メンバーの発案で実行委員会をつくり予選をバーチャル空間で行いました。

その結果、大会には国内外から300名が参加、YouTubeによる配信の視聴者は約200名にのぼりました。本選では、大学生や造船会社の社員チームも参加し、子どもたちと一緒に熱戦を繰り広げました。

中高生のソーラーボート大会参加者 300名

写真1

写真2

年度別月次レポート

2024年11月の進捗報告

波力ポンプを改良し、強靭で安全な流動逆止弁を開発、琵琶湖での実験を行ってきました。その結果、内径50mmのパイプを用いて夏期に水深20mの水を約1カ月、汲み上げることに成功しました。ポンプの流量は毎分20~30リットルで、湖表面の水温が約1℃低下し、植物プランクトンの指標であるクロロフィルa濃度が約2倍になったことが確認できました。

2024年10月の進捗報告

10月19日に日本陸水学会熊本大会で、波力ポンプの琵琶湖実験結果について発表しました。発表した子どもたちの感想です。

「いろいろな方の意見をいただけて『確かに』と思うことがたくさんありました。反響が良く嬉しかったです。『波力ポンプ一台でどの位の範囲が冷やされるか』について多くの方が知りたいと話していました」

「とても緊張しましたが、発表して意見をもらえたことが楽しかったです。たくさんの方に波力ポンプの原理を聞かれ、自信をもって答えることができたので良かったです。この研究をがんばって続けてほしいという方もいて、嬉しかったです」