クリーンな次世代燃料の普及に向けて
脱炭素化社会の実現に向けて、従来の化石燃料由来のエネルギーに代わる様々な次世代エネルギーの開発が進められています。その中でも、電動化が難しい航空機や大型船舶では、今後もエネルギー密度の高い液体燃料が必要とされており、その低炭素化が求められています。研究開発部門では、廃食用油などを原料としたSAF（Sustainable Aviation Fuel：持続可能な航空燃料）や、CO2を原料にした合成燃料について国のプロジェクトに参画しながら技術開発に取り組んでいます。
SAF（Sustainable Aviation Fuel ）
電動化が難しい航空機は液体燃料での低炭素化を進める方法としてSAFが注目されています。SAFはバイオマス由来の原料や廃食油等から製造され、これらの原料となる植物が光合成によりCO2を吸収するため、燃焼後のCO2が再び光合成で回収されて炭素を循環するため、脱炭素化を図ることが出来ます。
コスモ石油では廃食油を原料としたSAF製造等に取り組んでいますが、SAFは従来の石油由来のジェット燃料とは組成が大きく異なる場合もあります。研究開発部門では従来の石油由来のジェット燃料とSAFをどのように組み合わせれば品質を確保できるか検討しています。加えて、SAFは原料確保の点でも課題があるため、原料多様化に向けた技術調査にも取り組んでいます。
合成燃料
合成燃料とはCO2と水素を合成して製造した液体燃料となります。原料となるCO2を大気や製油所の排出ガスを回収して利用するため、燃焼時に従来の化石燃料と同様、CO2を排出しますが、製造時に回収したCO2を原料としている為、全体の排出量を相殺することが可能です。合成燃料は、既存の石油製品サプライチェーンを活用かつ、液体燃料の低炭素化を促進する技術であることから脱炭素化社会の実現への期待は大きくなっています。一方で、現状では生産効率やコスト等が課題であり、普及に向けてへ技術開発に取り組む必要があります。研究開発部門では、NEDOの「CO2排出削減・有効利用実用化技術開発」事業に参画し、各社と連携して社会実装に向けて取り組んでいます。
