事業概要
コスモエネルギーグループの中核会社であるコスモ石油にて主に原油の調達から石油製品の製造・物流・輸出入を行っています。同じく中核会社であるコスモ石油マーケティングでは、石油製品を含めたグループ商品を法人・個人のお客様に販売しています。
事業戦略
石油製品の製造・販売部門として、世界水準の安定操業とお客様への安定供給を進める石油事業部門では、加速する脱炭素化の流れを受け、多様なニーズに対応するブランド開発などにより他社に先駆けた価値を提供しています。EVシフトやグリーン電力の拡大、SAF※1などの新燃料の開発・展開、CASE※2やMaaS※3、キャッシュレス決済の拡大などを事業機会と捉え、商品開発・サービス展開を進めています。
識別したリスク
- 原油価格および原油調達に関するリスク
- 石油製品の価格および需要に関するリスク
- 製油所等設備の事故、漏洩に関するリスク
- 急速な環境変化に伴う事業継続リスク
- 棚卸資産の収益性の低下による簿価切り下げに関するリスク
機会
- 世界的に加速するカーボンニュートラルの流れ、脱炭素社会への対応
(EV化、グリーン電力、新燃料への取り組み) - 新型コロナ水際対策緩和によるジェット燃料の需要回復
- CASEの動向
(モビリティ供給、整備など) - 顧客動向の変化、デジタル化、キャッシュレス決済の拡大
強み
- 需要減少の環境下、製油所の高稼働を維持
(キグナス石油への燃料供給に伴う供給ショートポジション) - 顧客とのつながり強化、特約店パートナーとのつながり
- ブランド商品開発
(コスモMyカーリース、コミっと車検、コスモでんき、やさしいカーシェア) - 高い顧客満足度、決済手段の多様化、ブランディング活動を中心とする価値創造
石油精製事業では、キグナス石油への燃料供給を2019年度から開始し、供給ショートポジションにおいても製油所の稼働を落とすことなく対応しました。石油業界の再編が進む中、需要と供給のバランスを重視した戦略が功を奏したと考えています。
※1 SAF:Sustainable aviation fuel 持続可能な航空燃料。主に植物などのバイオマス由来の原料や、飲食店や生活の中で排出される廃棄物・廃食油を原料として生産され、化石燃料と比較して二酸化炭素の排出量を削減可能な燃料
※2 CASE:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Service(シェアリング・サービス)、Electric(電動化)の頭文字を元にした造語
※3 MaaS:Mobility-as-a-Service 従来の交通手段・サービスに、自動運転やAIなどのさまざまなテクノロジーを掛け合わせた次世代の交通サービス
製油所の高度な保安への取り組み
コスモエネルギーグループでは環境負荷の低減と安全性の向上を目指し、持続可能なエネルギー供給を実現する製油所運営を行っております。高度な保安体制を更に強化し、効率的な生産プロセスを導入することで、地域社会と地球環境に配慮した運営を行っています。
また、テクノロジー導入やデジタル化を進め、エネルギーの効率的な使い方を追求しながら、未来に向けたエネルギー問題の解決にも積極的に取り組んでいます。
これらにより、今まで以上にエネルギーの安定供給と環境保護を両立し、持続可能な社会の実現に貢献する製油所を目指しています。引き続き「安全で事故のない製油所であり続ける」ために、安全管理活動の実行と継続的な改善、また、テクノロジーを活用した保安管理活動を推進・進化してまいります。
特定認定高度保安実施者(通称:A認定)とは
2023年12月21日に改正した高圧ガス保安法において、特定認定高度保安実施者(通称:A認定)に、2024年8月19日付けで堺製油所が認定されました。
A認定はスーパー認定の基準に加えスマート保安の促進を目的としており、サイバー対策を含む以下4つの要件で構成されています。具体的には以下の点でスーパー認定の基準から拡充されています。
- 経営トップのコミットメント
コンプライアンス遵守体制の整備やコーポレート・ガバナンスの確保
- 高度なリスク管理の体制
スーパー認定の基準に相当 - テクノロジーの活用
自社の事業実態に見合ったテクノロジーの採用 - サイバーセキュリティーなどの関連リスクへの対応
各業界でのサイバーセキュリティーガイドラインに沿った対応
企業価値向上への取り組み ~Oil領域の収益力確保/製油所の稼働最大化~
コスモエネルギーグループでは大都市圏に存在する3製油所体制にて安全操業・安定供給を続けており、坂出製油所の閉鎖(2013年度)、キグナス石油への燃料油供給開始(2019年度)により、当社は販売に対して生産が少ない 「ショートポジション」を確立しております。2021年度千葉製油所におけるスーパー認定取得をきっかけとした従前にも増した製油所の高度な保安への取り組みによる製油所高稼働の維持により、石油事業を中心とした収益力の強化につなげております。
石油事業における低炭素化の取り組み
製油所等から発生するCO2を分離・回収し、液化・貯蔵したのちに地中などに貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)や、回収したCO2を化学製品や燃料に変換して有効利用するCCU(Carbon dioxide Utilization)の技術について、様々な企業と共同で検討を進めています。
CO2 回収・貯蔵(CCS)のイメージ図
CO2 有効利用(CCU)のイメージ図