代表取締役会長兼社長 岡部敬一郎
経営方針説明~新2ヵ年経営計画「価値創造21」
2001年度上半期の決算は、当社単体で、売上高は原油価格の上昇が影響して前年同期比411億円の増収で7,779億円となりました。損益面では、合理化と付加価値創造の効果はあったものの、内需製品需要の減少、また昨年中間期に棚卸資産の評価方法の変更による利益増加要因があったため営業利益は同67億円減の28億円、経常利益は同23億円減の27億円となりました。中間純利益は、有価証券評価損の計上も影響して12億円の損失となりました。
グループ全体では石油開発部門が好調に推移し連結売上高は682億円増の9,150億円、経常利益は同6,600万円減の101億円、中間純利益は同57億円減の1億9,800万円の損失となりました。
石油業界を取り巻く環境を見てみますと、原油価格は今上半期1バレル24ドルから25ドルという高水準で推移し、さらに円安が影響して調達コストが上昇しています。これに対し製品市況は、ガソリンを除くと、充分な価格転嫁ができない厳しい状況が続いています。
原油価格は、2001年度下期も、1バレルあたり24ドル程度で推移すると予測していますが、あるいは1バレル20ドル程度までの下げもありうる局面です。近年の市況は、原油価格の上下より遅れて動いているために、原油価格の下げは石油元売会社にとって多少のプラス要因となるケースが多くなっています。しかし、問題なのは、かつてよりの需要低迷に加えて、下期には同時多発テロの影響で需要が世界的に落ち込んでいることです。当社も今後、需給を引き締めてこれに対応することにしています。
こうした厳しい経営環境のなか、当社は基本理念として「真に顧客に愛されるコスモネットワークの実現」、「最強のコスト競争力を持つコスモネットワークの実現」を掲げ、今年度より、一層の効率化と付加価値創造を目指す経営計画「価値創造21」を推進しています。価値創造21では、周辺事業や新エネルギーへの対応を重要視していますが、根底にはやはり「石油事業」が我々のコア事業であることを再認識し、競争力をつけることが最重要課題であると考えています。過去を振り返って見ますと96年度からこれまでに1,500億円の合理化・効率化を達成しましたが、我々は2003年3月末までにその総仕上げを行い、新たに価値創造を含めトータルで2,000億円近い効率化を目指しています。
価値創造に関して、最も重点を置いて取り組んでいるのは、販売部門です。かつてのようにガソリン販売量に頼ったSS運営の時代は終わりました。我々の目の前にあるのは、規模10兆円と言われる「カーライフ市場」です。燃料、洗車、オイル、タイヤ、関連用品、車検、修理など、これら全体を1つのターゲットとして捉え、カーケア市場でのシェア拡大に取り組むことが重要と考えています。
当社のカーケア収益の拠点となるのは「B-cleネットワーク」です。1ヵ月あたり200KLの販売量だったSSが、B-cleのキーステーションとなったことで、1,000KLを販売するSSになったという実例もあります。B-cleSSはすでに224店が稼働していますが、これからもさらに拡大し、2003年3月末までに500のB-cleSS構築を目指して推進中です。
もうひとつの当社の大きな強みは、自社運営のクレジットカードである「コスモ・ザ・カード」です。これは、他社に先駆けてガソリンマイレージやETC機能を加えました。今年度上半期の加入促進策では、23万枚という大幅な新規発券を達成しました。今後もさらに発券・利用率のアップを図ります。また、セルフSSですが、これはこの上期末までに55SSを展開しています。ユーザーニーズの多様化に対応して今後も出店を検討していきます。SSの運営指導にあたる人材を、当社ではSV(スーパーバイザー)と呼び、SSのコンサルティング活動を強化し、各SSが地域ナンバー1となることを目標とした支援を展開していきます。
原油調達、タンカー、備蓄、生産、物流など各部門でも、一層の効率化を図ります。原油開発では、アブダビ石油を中心としながらも、今後は豪州の油田を第2の柱とし、重点を置きます。また、電力会社と共同で輸入基地を持つなどの手法で、LNGの供給事業も進めていく予定です。一方で、財務体質の改善も着実に進んでおります。売掛債権のサイト短縮化やSSの証券化、資産売却などに取り組み、有利子負債を削減して、資本効率を向上させていきます。
最後になりますが、もうひとつ重要な当社のテーマは、「環境先進企業」となるための様々な取り組みです。これまでに、アブダビの油田での「ゼロフレア・プロジェクト」や、製油所・物流の現場での環境負荷低減、そして軽油の低硫黄化に代表される環境対応技術の開発と一層の品質管理に取り組んできましたが、今後もこれらに力を入れていくことになるでしょう。また、分散型電源やIPPなどの事業推進、社会貢献活動、環境会計の導入と活用など、これまでに行ってきた環境対応事業を、今後さらに高度なかたちで展開していきます。
下半期から来年度に向け、予想されるさまざまな難局に立ち向かうために、当社は万全の体制で臨んでまいります。今後とも変わらぬご理解をお願いできれば幸いです。